head8.jpg

その市場調査のやり方、間違えていませんか?~インタビュー調査と定量調査の利用場面~

市場調査は、新たな事業の成功を左右する重要なステップです。しかし調査方法を誤ると、得られるデータが不十分だったり、分析結果の信頼性が低くなったりする可能性があります。

本記事では、インタビュー調査(定性調査)と定量調査の違いや、それぞれの適切な利用場面を解説します。費用感やスケジュールの目安もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

市場調査のやり方を間違えた際に起こりえること

8-1.jpg

市場調査のやり方を間違えると、事業に悪影響を及ぼします。具体例として、2つのケースをピックアップしました。

ケース①:食品会社の新商品開発失敗例 ある食品会社が「若年層は健康志向が強い」という仮説に基づいて低カロリーのスナックを開発。しかし市場調査が不十分で、実際には「味を優先する傾向」が強い層だったことが判明。結果として商品が市場に受け入れられなかった。

ケース②:サブスクリプションサービスの誤った戦略 サブスクリプションサービスの開発に際してアンケート(定量調査)を実施し、「価格重視の回答が多い」という結果をもとに低価格モデルを展開。しかし、ローンチ後に顧客満足度が低迷。インタビュー(定性調査)を実施していれば、顧客が実際に求めていたものが判明したかもしれない。

調査の手法を誤ると、得られるデータが不正確または不十分になるため、注意が必要です。

市場調査の種類・内容

市場調査の種類・内容は、大きく分けて「インタビュー調査(定性調査)」「定量調査」の2つです。それぞれの詳しい内容を解説します。

インタビュー調査(定性調査)

インタビュー調査(定性調査)は、比較的少人数の対象者に対して質問を行い、対象者の感情や考え方を探るための調査手法です。数値化が難しい主観的な情報、つまり定性データを収集するのに適しています。

メリット

  • 定量調査では得られない、顧客の感情や行動の背景を明確化できる
  • その場で新しい質問を追加したり、回答に応じて掘り下げるなど、柔軟性に優れている

定量調査

定量調査は、多数の対象者からアンケートや調査フォームを通じてデータを収集し、統計的に分析する手法です。主に、客観的で測定可能なデータを得ることを目的としています。収集したデータは、マーケティングや事業計画など、さまざまな用途で使われます。

メリット

  • 多くの回答者を対象にするため、膨大なデータを収集できる

デメリット

  • 定性調査とは異なり、特定のトピックに関して深く理解するのには限界がある

市場調査の具体的なやり方

8-2.jpg

市場調査の具体的なやり方・フローは、以下の5つです。

  • 事業立案
  • 仮説提起
  • 仮説検証
  • 認知度調査
  • 顧客理解

それぞれ詳しく解説します。

事業立案

事業を始める際、または新しいプロジェクトを検討する際に調査を行い、方向性を定めます。ターゲット市場を決め、その全体像を把握するのが目的です。

たとえばターゲット市場の規模や成長率、競合状況を調べれば、その市場がどれだけの潜在的な価値を持っているのかがわかります。そしてそのような環境下で、どのように自社の優位性を発揮できるかを見極め、具体的な戦略を構築しつつ事業立案をします。

仮説提起

仮説提起は、事業・プロジェクトの方向性を具体化する重要な作業です。新たな市場に参入する際に、事前に「どのような状況で成功が見込めるか」という仮説を立て、調査の焦点を明確化するのが主な目的です。

たとえば、仮説の一例として「ターゲット顧客は価格よりも品質を優先する」「この地域ではオンライン広告がとくに効果的である」といった前提を設定します。その後、実際の市場調査で具体的なデータを集めて、仮説の正確性を検証します。

仮説検証

仮説検証は、事業やプロジェクトの方向性を具体化するために提起した仮説が正しいかどうかを確認する作業です。仮説が正しい場合はその方向性で進め、誤っていた場合は新たな仮説を立てて再検証して、戦略をブラッシュアップします。

仮説検証の方法には、定量調査や定性調査があり、それぞれに適した手法が選ばれます。たとえば定量調査であれば、仮説に基づいた質問を広範囲の対象者に送り、統計データを収集・分析するのが一般的です。

認知度調査

認知度調査は、顧客に対するブランドや商品の認知、さらにはブランドイメージを把握するためのマーケティング手法です。既存のマーケティング活動の効果を確認し、改善点を見つけるのを目的としています。

認知度調査の結果は、「新商品・新サービスのローンチ後にマーケティング施策が適切に機能しているかを確認する」「競合他社と比較してブランドの立ち位置を評価する」などの用途で活用します。

顧客理解

顧客理解とは、顧客がどのような行動を取り、どのような考え方や価値観を持っているかを分析することです。顧客の視点に立ち、そのニーズや課題を的確に把握し、顧客満足度の向上や競争優位性の確立につなげます。

顧客を理解するためにはさまざまな手法がありますが、最も基本的かつ重要な方法は「インタビュー調査」です。インタビューを通じて顧客と直接対話すれば、データや統計だけでは得られない具体的な情報を引き出せます。

市場調査の大まかな費用感・スケジュール

8-3.jpg

市場調査を考える場合は、事前にどのような費用感・スケジュール感なのかを理解する必要があります。以下、インタビュー調査(定性調査)と定量調査に分けて、費用感・スケジュールを詳しく解説します。

インタビュー調査(定性調査)の費用感・スケジュール

費用感 インタビュー調査(定性調査)の費用感については、インタビュー形式であれば、数十万円が相場です。調査の企画・設計やインタビュー実施、データ分析などさまざまな工程で費用がかかります。調査対象者の選定が難しい場合や、専門性の高い分野では、さらにコストが上がる可能性があるため注意が必要です。

スケジュール スケジュールに関しては、以下のようになります。

  1. 企画・調査準備:調査の目的や対象を定義し、質問項目やフローを設計
  2. インタビュー実施:実際にインタビューを行う
  3. 結果の分析:文字起こしやデータ整理
  4. レポート作成:定性的な情報をテーマごとに分類し、傾向などをまとめる

さまざまな工程が必要であり、トータルで考えると数週間~数か月ほどかかりますが、調査自体は数時間で終わるのが一般的です。

定量調査の費用感・スケジュール

費用感 定量調査の費用感は、インタビュー調査(定性調査)と同様、数十万円が相場です。サンプル数や調査対象者の条件などが費用に大きく影響し、場合によっては数百万円になることもあります。

スケジュール スケジュールに関しては、以下のようになります。

  1. 調査企画・設計:目的設定や対象者選定、質問設計
  2. 調査票の作成:質問内容の構成と精査
  3. 調査の実施:オンライン調査が主流、オフライン調査の場合は追加コスト発生
  4. データ集計・分析:オンラインであれば自動集計が可能
  5. レポート作成:統計的手法で分析した結果をまとめる

オンラインで実施するか否かなど、さまざまな条件はあるものの、基本的には数週間で完了する場合が多いとされています。

まとめ

市場調査は、ビジネスの成功に欠かせません。ただし状況やシチュエーションによって、適切な手法は異なります。

インタビュー調査(定性調査)は、顧客の深い洞察を得るのに適しています。一方で定量調査は、仮説検証や市場全体の傾向把握に効果的です。それぞれの特徴を理解し、目的に応じた調査を選べば、効率よく戦略を立てられます。

自社で手法を選ぶのが難しい場合は、専門のリサーチ会社やプロに相談するのがおすすめです。プロのサポートを受けることで、調査の精度が向上し、意思決定の信頼性も高まります。調査をサポートするためのツールも充実しているため、費用を抑えたい場合はそちらも検討するとよいでしょう。

「リサーチDEMO!」は、最短1日、3万円から消費者インタビューができるツールです。リーズナブルかつスムーズに、インサイトを得られます。インタビューの活用で不安やお悩みがあれば、「リサーチDEMO!」をぜひご活用ください。