
インタビューを有意義にするには ~その調査、本当に必要ですか?~
商品・サービスの販売戦略やマーケティング施策を検討する際には、消費者のニーズを深く分析する必要があります。消費者のインサイト(内面的な欲求や本音)を知るには、インタビュー調査が有効です。ただし、インタビュー調査のポイントを押さえて実施しなければ、十分な効果を引き出すのは困難といわざるを得ません。
この記事では、成功するインタビューのポイントをわかりやすく解説しています。主なインタビューの種類と活用シーン、各種インタビュー調査にかかる費用の目安も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
インタビューの種類と活用シーン
はじめに、消費者のインサイトを把握する上で役立つインタビュー調査の種類を紹介します。主なインタビューの手法は下記の3種類です。
- グループインタビュー
- デプスインタビュー
- オンラインインタビュー
それぞれ活用シーンとあわせて見ていきましょう。
1. グループインタビュー
グループインタビューとは、座談会形式で複数の調査対象者に実施する調査の形式です。一度に複数名から意見や感想を聞けるため、効率良く調査を進められます。できるだけ多くの意見を収集したい場合や、短期間でコストを抑えて調査を実施したい場合に適した手法です。
グループインタビューでは調査対象者同士がお互いの意見や感想を聞き合うことになるため、他の回答者の発言に影響されたり、ユニークな意見を出しにくかったりする可能性があります。また、健康や金銭などデリケートなテーマの調査には適していません。
2. デプスインタビュー
デプスインタビューとは、1対1の形式で実施する調査のことです。インタビュアー以外に人がいない空間で調査を進めるため、対象者の思考や価値観を深く掘り下げたい場合や、デリケートなテーマを扱う場合に適しています。
一方で、デプスインタビューで一度に調査できる人数は1人となるため、グループインタビューと比べて調査のための時間とコストがかかります。また、調査を通じて得られる回答はあくまでも対象者の個人的な見解です。したがって、有効な回答が得られるよう調査対象者を慎重に選定する必要があります。
3. オンラインインタビュー
オンラインインタビューとは、Web会議ツールを活用して実施する調査形式のことです。対象者は調査会場まで足を運ぶ必要がないことから、地理的な制約を受けずに調査を実施したい場合や、外出が困難な子育て世代などを調査したい場合に適しています。
オンライン形式であれば、会場の手配や設営も不要となり、インタビュー調査に要するコストを抑えられます。ただし、調査目的を達成するには適切な対象者を選定するとともに、オンライン環境で意見を引き出す質問項目を準備しなくてはなりません。こうしたノウハウを習得するには、相応の期間を要する可能性があります。
成功するインタビューのポイント
インタビュー調査を効果的に実施する上で不可欠なポイントを紹介します。
対象への知識・理解を深める
インタビュー調査を実施するにあたり、調査対象となるテーマや商材を深く理解しておかなくてはなりません。商品・サービスのコンセプトや企画趣旨、独自の強みや特長をあらためて整理しておきましょう。
その上で、商材や消費者について仮説を立てておくプロセスも欠かせません。現状、自社の商材がどのように認知・受容されているのか、消費者にとってのイメージはどうであるか、自社なりの仮説を用意した上で調査に臨むことが大切です。
なお、消費者は必ずしもロジカルな判断にもとづいて商品を選定し、購入を決断しているとは限りません。理屈の上では成立していたとしても、実際には理屈どおりにならないケースも多いことを理解しておく必要があります。
第一印象に注力する
インタビューを円滑に進めるには、対象者にリラックスした状態で参加してもらうとともに、調査に対して協力的になってもらう必要があります。そのためには、インタビュアーの第一印象をできる限り良いものにすることが重要です。
一般的に、初対面の相手に対する第一印象は対面から3〜4秒で決まるといわれています。裏を返すと、調査開始時の3〜4秒が成否を分ける重要なポイントとなるでしょう。表情や話し方、服装、声のトーン、匂い、誠実さ、清潔感など、第一印象を左右する要素を可能な限り改善しておくことが大切です。
否定しない・理解を示す姿勢
インタビュアーの聞く姿勢も重要なポイントの一つです。回答者の発言内容は基本的に正しいと捉え、否定的な言葉を使わないよう注意してください。
たとえば、回答者が自社の商材について「(他社の)商品Aよりも価格が高い」と発言した場合を考えてみます。事実としては自社商品のほうが安かったとしても、「いえ、商品Aのほうが高いですよ」と否定するべきではありません。まずは相手の考えを100%理解しようと努め、なぜそう感じるのか相手の立場になって考えることが重要です。
聞く力
回答者に気持ち良く回答してもらうには、インタビュアーの聞く力が求められます。具体的には、次のようなスキルを磨いておくことが大切です。
- 適度にあいづちを打つ(「なるほど」「さすが」「そうですか」など)
- 相手の発言をおうむ返しにする
- 無言を恐れず回答を待つ
回答者の発言をインタビュアーの解釈で要約したり、アレンジしたりすることのないよう注意しましょう。あくまでも回答者の言葉に耳を傾け、共感を示すのがポイントです。
質問する力
インタビュアーの質問力も、調査の成果を左右する要素の一つです。仮説ありきの誘導質問にならないよう注意すると同時に、質問リストの読み上げに終始せず自然な会話の流れから回答を引き出していくスキルが求められます。
なお、質問内容はWHYではなく、事実(WHO・WHAT・WHEN・WHERE)を聞くのが基本です。WHYに関しては、聞き取った事実を踏まえてインタビュアー自身が考える必要があるでしょう。
インタビュー調査にかかる費用の目安
インタビュー調査を実施するにあたって、費用が気になっている方も多いのではないでしょうか。インタビューの手法ごとに、おおよその費用感を紹介します。
グループインタビューの費用感
グループインタビューにかかる費用は、調査対象の条件や調査人数、インタビュー時間の設定などによって上下します。下記は費用感の一例です。
20名のグループインタビューの場合
- 1グループ5名×4グループに分けて調査を実施
- 調査時間は各グループ1時間
- 費用:約350万円
具体的にかかる費用としては、対象者抽出のためのスクリーニング調査や、対象者にインタビューへ参加してもらうためのリクルーティング費用、当日のインタビューに必要な人員の手配や参加者への謝礼、インタビュー後の納品物に関する費用などが挙げられます。
デプスインタビューの費用感
デプスインタビューにかかる費用に関しても、アンケート設問数やサンプルサイズ(回答者数)、対応範囲などによって異なります。下記は費用感の一例です。
商品のロイヤルカスタマー5名のデプスインタビュー
- 対象者条件:一都三県、特定商品のロイヤルカスタマー(出現率5%、インタビュー許諾率20%を想定)
- 対象者数:5名
- 対応範囲:リクルーティング、会場手配、受付、モデレーター手配、書記手配、インタビューフロー作成
- その他:6000円相当のポイントによる謝礼、インタビュー時間1人60分
- 費用:約84万円
広告コンセプトを提示する10名のデプスインタビュー
- 対象者条件:一都三県、20~70代男女、自身で選んだ生命保険に加入している方(出現率40%、インタビュー許諾率20%を想定)
- 対象者数:10名
- 対応範囲:リクルーティング、会場手配、受付、モデレーター手配、書記手配、インタビューフロー作成
- その他:6000円相当のポイントによる謝礼、インタビュー時間1人60分
- 費用:約142万円
なお、デプスインタビューは条件に応じて設問数や回答者数を調整できるため、予算に合わせた柔軟な調査設計が可能です。無駄な費用が発生しないよう、効率的に調査を進められる点が大きなメリットといえます。
オンラインインタビューの費用感
オンラインインタビューの場合、会場手配が不要であることや調査当日の人員を抑えられるため、よりリーズナブルな価格で調査を実施可能です。費用の目安として、下記の3パターンを紹介します。
特定商品の現ユーザーへのオンラインインタビュー
- 対象者条件:全国50代~60代女性 特定商品の現ユーザー(商品で割付あり)
- インタビュー人数:10名
- 調査時間:60分/1名当たり
- 納品形式:スクリーニング結果、動画
- 出現率:0.5%
- 仕様:リクルーティング、事前接続確認、当日オンライン立ち合いあり、インタビュアーなし
- 費用:約53万円
特定のクレジットカードユーザーへのオンラインインタビュー
- 対象者条件:特定のクレジットカードユーザー
- インタビュー人数:6名
- 調査時間:60分/1名当たり
- 納品形式:スクリーニング結果、動画
- 出現率:1%
- 仕様:リクルーティング、事前接続確認、当日オンライン立ち合いなし、インタビュアーなし
- 費用:約37万円
自動車ユーザーへのオンラインインタビュー
- 対象者条件:全国50代以上 自動車高頻度ユーザーで同居高齢家族とともにインタビューに参加できる
- インタビュー人数:3組 6名
- 調査時間:90分/1名当たり
- 納品形式:スクリーニング結果、動画
- 出現率:0.2%
- 仕様:リクルーティング、事前接続確認、当日オンライン立ち合いなし、インタビュアーなし
- 費用:約43万円
インタビュー調査のテンプレート
インタビュー調査に活用できる調査項目のテンプレートを紹介します。調査は「導入」「本題」「まとめ」で構成し、各パートに調査項目を設定していくとよいでしょう。
| 項目名 | 詳細 | |--------|------| | 導入 | あいさつ(ビデオ録画の承諾、趣味義務の説明、インタビュー趣旨の説明)<br>自己紹介(名前、家族構成、趣味などの本人属性) | | 本題 | ブランド認知・使用意向・購買意向をもったきっかけ<br>使用実態とその満足・不満足<br>競合ブランドへの認識<br>好きな点と嫌いな点<br>コンセプト・パッケージの受容性とその理由<br>利用頻度が高い顧客とのギャップの所在とその原因、きっかけ商品の購入をやめた理由、等 | | まとめ | 参加のお礼<br>今後の流れ |
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インタビュー調査は、マーケティング戦略の起点となる重要なプロセスです。顧客のより深いニーズに合わせて商品の企画や改善を進めることによって、失敗をする可能性は格段に下がるでしょう。市場が縮小していく日本において、顧客への深い理解を抜きにして成功するのは困難といわざるを得ません。
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