
インサイトが見つかるインタビュー調査! ~ビジネスで失敗しないために必要な要素~
はじめに
ビジネスを軌道に乗せるには、失敗のリスクをできるだけ軽減させておくことが重要です。自社の商品・サービスを多くの顧客から選ばれるものにするには、深い顧客理解が欠かせません。
今回は、顧客理解を深化させる上でインタビュー調査が有効な理由と、消費者から意見を聴取するメリットについて解説します。インタビュー調査の具体的な進め方とあわせて見ていきましょう。
なぜインタビュー調査が事業には必要なのか
そもそも、事業の成功確度を高める上でなぜインタビュー調査が必要になるのでしょうか。その主な理由として挙げられるのが、事業が失敗するリスクの低減につながることです。顧客の意見を反映させ、ニーズに応える商品・サービスを提供すれば、自ずと成功率も上がるでしょう。
事業の成功にインタビュー調査が寄与する主な理由として、次の3点が挙げられます。
理由1:商品・サービスの存在を知ってもらう必要がある(認知)
ひとつめの理由は、自社の商品・サービスの存在を多くの消費者に広く知ってもらう必要があるからです。知らない商品・サービスは、そもそも消費者の選択肢に挙がらない可能性が高いと考えられます。
たとえば、コーラが飲みたいと感じるシーンを想像してみましょう。多くの場合、「コーラ」の具体的な商品名がすでに頭の中に浮かんでいるのではないでしょうか。この時点で消費者が知らない・聞いたことがない商品が頭に浮かぶことはありません。自社の商品・サービスが消費者にどの程度認知されているのか、現状を把握しておくことが重要です。
理由2:商品・サービスを思い出してもらう必要がある(想起)
商品・サービスの名称を「知っている」ことと、購入する商品の候補として「想起する」ことは、似て非なるものです。購買行動につなげるには、具体的な商品名を思い出してもらわなくてはなりません。
前掲のコーラの例であれば、「コカ・コーラ」や「ペプシコーラ」を思い浮かべる人が多いでしょう。この2つの商品名が想起された時点で、消費者が買い求める商品は2択に絞られています。実際には他のコーラが販売されていたとしても、想起されない商品が購入される確率は極めて低いといわざるを得ません。自社の商品・サービスが消費者に想起されているのか、実態を調査しておく必要があります。
理由3:真のニーズに応えていく必要がある(インサイト)
理由1・2で挙げた認知・想起に成功していれば、初回購入に至る可能性は十分にあるでしょう。一方で、購入された商品が消費者のニーズに応えられていなかったとすれば、リピート購入にはつながりません。安定的に売上を確保していくには、リピート顧客を獲得していくことが重要です。
顧客ニーズの調査手法として、アンケート調査が採用されるケースは少なくありません。しかし、アンケート調査を通じて収集した顧客の声が、顧客の本心を表しているとは限らない点に注意が必要です。答えやすい無難な項目に回答が集中したり、あえて自由回答欄に感想や要望を記載するまでもないと判断されたりするケースも考えられます。顧客の本音(インサイト)を把握するには、1対1のインタビュー(デプスインタビュー)が有効です。
失敗を防ぐにはインサイトの発掘が必要
前述のとおり、ビジネスの失敗をできる限り避けるには顧客インサイトを深く探っていくことが重要です。このプロセスを「インサイトの発掘」といいます。インサイト発掘とは具体的に何を掘り下げることを表しているのか、事例とともに見ていきましょう。
インサイトの発掘とは
インサイトとは、顧客が商品やサービスに対して感じる根源的な価値のことです。顧客が感じる価値は「機能的価値」と「情緒的価値」に分けられます。
機能的価値とは、商品・サービスの機能面に対して感じる実利的な価値のことです。一方、情緒的価値は信頼性や愛着といった定性的な価値のことを指します。
たとえば、「安くて品質が良く、機能性に優れている商品」が売れるかといえば、必ずしも売れるとは限らないのが実情です。同価格帯・同スペックの商品であっても、より信頼を寄せている企業が提供している商品や、経験的に好印象を抱いている商品が選ばれるケースも少なくありません。このように、何が決め手となって購入に至っているのか、深く掘り下げて分析することが重要です。
インサイトの発掘に成功している事例
インサイトの発掘に成功している2社の事例を紹介します。
1社目は「焼肉ライク」です。一般的に焼肉店は、2人以上でテーブルを囲む形態の店舗が多く見られます。一方で、「1人で気兼ねなく焼肉を楽しみたい」という潜在的なニーズを抱えている消費者も少なくありません。「焼肉店はこうあるべき」といった先入観に囚われず、一人焼肉という新たなスタイルを確立できたのは、顧客のインサイトに根差した店舗づくりに注力したからです。
2社目の事例は「大江戸温泉物語」です。温泉旅行に出かけるほどの時間は確保できないものの、温泉で気分をリフレッシュしたいという消費者は多く存在します。つまり、「近場で温泉気分を味わう」ことが消費者インサイトの根底にあったのです。そこで、都市部から気軽に出かけられる距離でありながら、まるで温泉旅館のように絶景を楽しめる露天風呂を訴求。海鮮グルメバイキングなど、温泉気分を存分に味わえるスポットとして人気を集めています。
インタビューを通じた意見聴取のメリット
消費者から意見を聴取する手段として、アンケート調査などさまざまな手法が存在します。それらの中でも、とくにインタビューを通じた意見聴取が優れているのはどのような点でしょうか。インタビューを通じた意見聴取のメリット3点を紹介します。
消費者が抱える課題や欲求の深い理解につながる
インタビュー調査では対象者に直接ヒアリングを行うため、消費者が抱えている課題や欲求をより深く把握しやすいというメリットがあります。Yes/Noの二択に限らず、オープンクエスチョンによる意見や感想の深掘りが可能です。
たとえば、消費者が「大きな不満はないが、やや気になる点はある」と感じている場合、「やや気になる点」を言語化してアンケートに記載するのは少なからず負担となります。一方、インタビュー形式であれば「やや気になる点」はどのようなシーンやタイミングで発生したのか、より具体的な状況を尋ねやすいでしょう。
企業側が想定していなかった意見が提示される場合がある
インタビューを通じて、企業側が想定していなかった意見を収集できる可能性がある点も大きなメリットです。企業側があらかじめ想定していない以上、アンケート調査の質問項目として用意するのは困難といわざるを得ません。インタビュー形式であれば、想定外の意見が提示された際に質問を重ねることで、より深くヒアリングを実施できます。
実際、ビジネスの失敗につながる要因は企業側にとって思いもよらない点に潜んでいるケースが少なくありません。想定外の利用シーンや不満点を口にした対象者が現れた際にも、柔軟に対応できることはインタビュー調査の長所といえます。
具体的なシーンやプロセスを聴取できる
対象者が商品やサービスを具体的にどのようなシーンで使っているのか、どういったプロセスで利用しているのか、詳細に聴取できることもインタビュー調査のメリットです。どのような場面でどう使った際に何を感じたのか、より個別具体的な状況を把握しやすくなります。
一例として、商品・サービスを利用している様子をその場で再現してもらったり、製品などが設置されている場所の状況を絵に描いてもらったりすることも可能です。抽象的な回答に留まらず、個別具体的なシーンやプロセスを聴取することにより、商品・サービスの改善点がより明確な形で浮き彫りになるでしょう。
インタビュー調査の進め方
インタビュー調査を進める際の基本的な手順について解説します。
1. 目的の設定
はじめに、インタビュー調査の目的を設定します。調査を通じて何を明らかにし、その結果を受けてどのようなアクションや意思決定をする必要があるのか、事前に決めておくことが大切です。
調査目的の設定例
- 現状:清涼飲料水ブランドAは、ここ半年売れ行きが芳しくない
- 課題:売上が低迷している原因が明確になっていない
- 目的:売上低迷の原因を明らかにし、有効な改善策について検討すること
上記の例のように、現在の課題を洗い出した上で解決すべき課題を設定し、課題の解決につなげるための調査として位置づけるのがポイントです。
2. 調査企画の設計
調査目的が定まったら、次にインタビュー調査の背景・目的・対象者・調査項目を決めていきます。検討すべき項目は下記のとおりです。
| 項目 | 内容 | |------|------| | インタビュー背景 | どのような課題意識からインタビューを行おうとしているのか。 | | インタビュー目的 | インタビューを通じて、把握・検証・確認したいこと。 | | インタビュー対象者 | どのような人たち何人に対してインタビューを行うのか。 | | インタビュー調査項目 | どんな調査項目を設け、どのような流れで聞くのか。 |
3. 調査の実行
調査企画が固まったら、いよいよインタビュー調査の実行へと移ります。インタビュアーは、下記の5点を意識しておくことが大切です。
- 知識・理解:調査対象のテーマや商材、業界への深い理解と十分な知識
- 第一印象:インタビュー開始3〜4秒の間に決まる
- 姿勢:相手の話は正しいと考え、否定しない・理解しようと努める
- 聞く力:適切にあいづちを打ち、無言を恐れない
- 質問する力:誘導質問をしない・会話を膨らませながら聴取する
4. 分析・意思決定
インタビュー調査の結果をまとめ、得られた回答を分析した上で意思決定へと反映させます。インタビュー調査の報告書は、次のような形式で簡潔にまとめるとよいでしょう。
インタビュー調査報告書の構成例
- リード文:報告書の結論や重要な知見を簡潔に記述
- 本文:対象者の発言からどのようなことがいえるのか、示唆されるのかを記述
- 発言抜粋:分析の根拠となる発言を掲載する
対象者の回答はできるだけ発言どおりに掲載し、恣意的な解釈や意図が混在することのないよう留意しましょう。あくまでも消費者の「声」を聴取することが、インタビューを実施する本質的な目的である点を見失わないようにしてください。
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インタビュー調査を実施することで、顧客の本音や真のニーズを把握しやすくなり、勝ち筋が見つかる確率も高まります。自社の商品・サービスを実際に利用している顧客を深く見つめるプロセスを抜きにして、売上伸長を実現するのは困難といわざるを得ません。売上の伸び悩みや市場の飽和に課題を感じている事業者様は、インタビュー調査を通じて顧客の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
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